未受精卵の凍結保存に関して
未受精卵を凍結保存する目的
凍結する目的は現時点で結婚や妊娠の予定がない場合、将来の妊娠出産に備えて未受精卵を凍結保存しておくことにより、将来の妊娠に備えることです。
当院における未受精卵の凍結保存に関する規約
この規約は日本産婦人科学会、生殖医学会のガイドラインを参考に決めております。
- 採卵する年齢は満43歳の誕生日までとします
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未受精卵の預かり(使用)は満48歳の誕生日までとします
それ以上の延長保存は妊娠年齢の安全性を考慮し不向きと考えられ破棄となります。48歳の誕生日を迎えた時点または本人が亡くなられた場合には破棄となります。
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1年毎の更新となります
更新の際には更新申込書、更新費用が必要です。
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凍結卵子を使用する場合は精子を提出していただき顕微授精での使用となります
その際には体外受精、顕微授精に対して旦那様の署名が必要になります。事実婚の場合も使用は可能であり、その場合には事実婚治療同意書及びお二人の戸籍抄本の提出が必要になります。
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排卵誘発について
生理から内服薬と注射により誘発を行います。注射は1周期につき3〜6回程度行い複数の卵子を採卵します。ある程度の卵子が必要なため検査を行い効果的な誘発方法を選択します。
具体的には、生理が開始したら2~3日目にエコー、ホルモン検査に来院し、刺激方法を決めます。排卵誘発は生理開始から排卵日までで平均3〜5回程度です。誘発方法については「体外受精の治療方法」、コストに関しては「費用について」を参照してください。詳細は診察の際にご説明いたします。
体外受精ー胚移植法(IVF-ET)について費用について
凍結保存の方法
未受精卵の凍結保存に際し1本の容器に最大で3個までの卵子の保存が可能です。例えば採卵数が9個の場合容器は3本程度となります。凍結保存代は容器1本につき費用がかかります。未受精卵凍結には容器1本55,000円(税込)/1年となります。
- たくさん凍結するメリット
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AMHが高く胞状卵胞(AF)がたくさん見えるのであれば、一度の採卵で卵子を出来るだけ採る事をお勧めします。これにより良好胚をたくさん凍結する事ができます。
少しでも若い時の卵子を出来る限りたくさん凍結しておくと、二人目を希望する場合にも有利になります。
一度妊娠すると妊娠中、産後の授乳期間は採卵できないため、場合によっては2年近く採卵できなくなります。
体外受精の大きなメリットである「胚の凍結」という技術を有効に活用すべきと言えます。
当院では卵巣予備力(AMH、AF等)を必ず調べて、予備力がある方には良好胚をたくさん凍結する事をお勧めしております。
凍結検体の移送(持込み・持出し)について
受精卵凍結の増加に伴い、転居などを理由に受精卵や配偶子(精子・卵子)の移送が増えています。
凍結受精卵や配偶子の移送は国内であれば比較的容易に行えるようになってきましたが、移送することによる損傷や紛失、取り違えなどのリスクが考えられます。そのため、一般的な宅配業者では凍結検体の移送を行うことはできません。
当院では専門の輸送業者を通して移送することを推奨しておりますが、近郊であれば患者さまご自身で行うことも可能です。なお、移送に伴う様々なリスクについて当院では一切の責任を負いかねます。また、保険診療での受精卵、およびPGT-A、PGT-SRを実施した受精卵は持ち出しできません。
ご理解のうえ、ご協力くださいますようお願い申し上げます。