超音波検査(初診時)
- 子宮:
- 大きさ、位置、傾き(前屈、後屈)、内膜の厚さ、子宮内膜ポリープがあるかどうか、子宮筋腫があるかどうかをみます。
- 卵巣:
- 大きさ、位置、卵巣嚢腫があるかどうか、癒着があるかどうか、採卵が可能な位置にあるかどうかをみます。
- 卵管:
- 卵管水腫があるかどうかをみます。
- ダグラス:
- ダグラスとは子宮と直腸の間のスペースです。ここに腹水が貯留しているかどうかをみます。
生理中のエコー(生理1~5日目)
生理中にエコーを行い、卵巣内の小さい卵胞(胞状卵胞:以下AF)の数を数えます。左右の卵巣内のAFの合計が卵巣の予備能力(卵巣年齢)を表しています。AFは体外受精を行う場合その周期の採卵数の予測になります。AFはAMHとも大体相関しています。生理中は内膜が薄くなるため子宮内膜ポリープ、粘膜下筋腫も見えやすくなります。その他遺残卵胞の確認もしています。
AMH検査(初診時)(生理周期を問いません)
抗ミューラー管ホルモン検査。卵巣の予備力(卵巣年齢)を最も正確に示す最も優れたマーカーです。AMHが高いと卵子の残り数 が多いことを意味し、AMHが低いと卵子の残り数が少ない事を意味します。 閉経時期もある程度予測できます。体外受精で排卵誘発剤を使用する際に、採れる卵子の数が予測できます。一年に一度調べる事をお勧めします。
クラミジア抗体検査(初診時)
過去にクラミジアに感染したかどうかを調べる検査です。クラミジアは卵管、卵巣周囲に癒着を作り不妊の原因となります。検査は抗原検査と抗体検査の2通りがあります。当院では抗体を調べております。抗体が陽性という事は過去に感染した既往がある事を示しています。現在感染していなくても過去に感染の既往があれば卵管周囲に癒着が出来ている可能性が高いという事になります。
- IgA(-) IgG(-)
- クラミジア感染の心配はありません。
- IgA(+) IgG(-)
- クラミジアにごく最近感染した可能性があります。
- IgA(-) IgG(+)
- 過去にクラミジアに感染した事があります。
- IgA(+) IgG(+)
- クラミジアに感染した既往があります。
感染している場合は抗生剤(ジスロマック)の内服が必要となります。
精子検査
以下の2通りの方法があります。
- 精液検査
- 院内の採精室で採取して頂くか、または自宅で容器に採取した精子を持参して頂きます。禁欲期間は2~4日で、排卵後か月経中に行う事をお勧めします。採取後2時間以内にお持ちください。精子は熱や低温に弱いので、温めたり冷やしたりしないでお持ちください。検査には専用の容器がありますので事前にお渡しします。
- フーナー検査(性交後検査)
- 排卵日に性交し、翌朝に来院し、おりもの(頚管粘液)を採取して精子とおりものの相性を見る検査です。性交後12時間以内が検査可能です。顕微鏡の400倍でおりものを観察し、精子の数と運動精子の数を数えます。フーナーテストが異常なければ通常精子は問題ないと予測されます。フーナー検査で異常が出た場合は精液検査を実施する事をお勧めします。
頚管粘液とは排卵が近くなると増えてきて、精子が子宮の中に入りやすくするために必要となる粘液です。排卵時期以外は出ることはないため門番的な役目となります。
ホルモン検査(月経2日目~5日目)
- FSH(卵胞刺激ホルモン)基準値3.5~12.5mIU/mL
- 脳下垂体から分泌されるホルモン。卵胞を大きくしていく作用があります。月経中のFSHから卵巣の予備能力がある程度推定できます。12以上の場合は卵巣機能が低下していることが推測されます。
- LH(黄体化ホルモン)基準値1.5~8.0mIU/mL
- 脳下垂体から分泌されるホルモン。排卵を起こすホルモンです。LHが上昇すると排卵が近づいていることを意味します。排卵検査薬では尿中のLHの上昇をみています。
- E2(エストラジオール)基準値20~85pg/mL
- 子宮内膜を厚くしたり、おりもの(頚管粘液)を増やしたりする作用があります。卵胞が育つと値が高くなります。一つの卵胞につき約250程度になります。
- P4(プロゲステロン) 基準値0.92ng/mL 以下
- 黄体ホルモン。着床しやすく内膜の環境を整えるホルモンです。排卵後に高くなり高温期を形成するのに必要なホルモンです。通常生理中には1以下となります。
- PRL(プロラクチン、乳汁分泌ホルモン)基準値4.9~29.3ng/mL
- 脳下垂体から分泌されるホルモン。本来は産後分泌され母乳を出させるホルモン。高いと不妊症の原因(無排卵、無月経、黄体機能不全)につながります。高い場合にはカバサール(1回/週:内服)というお薬を処方します。
超音波下卵管通水検査(生理6~10日)
当院ではレントゲンを使用しないため排卵日が近い場合でも検査をお受けできます。感染予防のため事前にクラミジア感染症の検査を受けて頂く事が必須です。子宮内に生理食塩水を注入して、子宮内腔、卵管の通過性を超音波で確認します。検査時間は5~10分程度で、通常痛みが伴う事はありません。
検査だけでなく治療効果として卵管の掃除にもなるため、検査後すぐに(3か月以内)妊娠する方が少なくありません。この検査で卵管の閉塞や癒着が疑われた場合は、腹腔鏡検査にて更に詳しい検査をする事をお勧めしております。
黄体ホルモン検査(高温期7日目前後)
黄体期(高温期)の中期のプロゲステロン値により黄体機能を評価する事ができます。高温期7日目前後のプロゲステロン値が10以上であれば正常ですが、10以下の場合は黄体機能不全が疑われます。その際は黄体ホルモンの内服や注射を行います。
甲状腺機能検査
甲状腺ホルモンが高い場合でも、低い場合でも不妊症となる可能性があります。また流産の原因となることもあります。スクリーニングという意味で事前に調べておく事をお勧めします。異常があれば内科専門医を受診することをお勧めしております。
抗精子抗体
抗精子抗体がおりもの(頚管粘液)の中にあると、抗体が精子と結びつき精子を不動化してしまうため、人工授精、体外受精の治療が必要となります。抗体がある場合は抗体の程度を測定して治療方針を決めます。
子宮鏡検査
エコーでポリープや粘膜下筋腫が疑われた場合、子宮内に細いカメラを入れて子宮内を直接観察する方法です。ポリープや筋腫が見つかった場合後日手術にて取り除きます。感染予防のため事前にクラミジア感染症の検査を受けて頂く事が必須です。クラミジア検査が陽性の場合には抗生剤の内服後に検査を行います。検査後に異常がある場合には保険が適応されます。
風疹検査
妊娠中の女性が風疹にかかると胎児に影響(先天性風疹症候群)が出る事があります。事前に風疹にかかった事があるかを検査しておくことをお勧めします。ワクチンを接種した場合、2か月間の避妊が必要になります。
腹腔鏡検査
以下の場合に検査を受ける事をお勧めします。
- 卵管造影検査、卵管通水検査にて異常が疑われる場合
- クラミジア抗体が陽性の場合
- 原因不明の不妊(精液検査が問題なし):35歳以下の方
35歳以上で早急に妊娠を希望される方は体外受精が好ましいと思われます。手術後1年間で約半数の方が妊娠します。特に3か月以内に妊娠します。手術時間は1時間~2時間程度です。入院は必要なく日帰りでできます。
お臍の下、両下腹部の合計3か所に3mmの小さい穴をあけて、カメラや器具を挿入して検査、治療を行います。そのため傷はほとんど残ることはありません(体質により少し残る場合もあります)。卵管癒着剥離、卵管通色素、卵管大量通水、腹腔内洗浄、内膜症病巣除去などを行うことにより妊娠しやすくなります。
保険が適用され3割負担となります。
先進不妊治療検査
当クリニックは「ERA」「EMMA」「ALICE」最新の不妊治療検査を行っております。
- 「ERA」エラ
- 子宮内膜着床検査
- 「EMMA」エマ
- 子宮内マイクロバイオーム検査
- 「ALICE」アリス
- 感染性慢性子宮内膜炎検査
この検査は健康な子宮環境を目指す先進不妊検査となります。 健康な子宮内膜環境が妊娠に繋がります。 また、検体採取は1回のみで3つの検査を同時に調べる事ができます。
着床前検査(PGT-A・PGT-SR)
着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)・着床前胚染色体構造異常検査(PGT-SR)とは、最新の解析技術を用いて受精卵の染色体の数や染色体の構造を調べる検査です。染色体数や構造に異常がない受精卵を子宮に戻すことで、流産を減らし、妊娠率や出産率を高めることを目的として行われる検査です。