体外受精の培養液について
現在、培養液には大きく分けて以下の2種類があります。
- Two-Step型培養液 (Sequential medium)
- One Step型培養液
Two-Step型培養液は、3日目から培養液を変える事を意味します。
One Step型培養液は、培養液を変えずに同じ培養液で最後まで培養する事を意味します。
Two-Step型培養液とOne Step型培養液の違い
Two-Step型培養液 (Sequential medium)
胚のアミノ酸要求性は時間特異的に変化します。人の胚は受精から4~8細胞期までは主に母性由来の遺伝子によりたんぱく質を合成しています。8細胞期以降は胚自身の遺伝子が活性化したんぱく質を合成するようになるので、それに伴い胚の栄養要求性は大きく変化します。
特に8細胞期まではピルビン酸や乳酸を必要として、グルコースを必要とはしませ。しかし8細胞期以降は逆にグルコースを必要として、ピルビン酸や乳酸は必要としません。
そのためそのステージにあった培養液を使用する必要があると言う考えで、受精から3日目までと、3日目から胚盤胞までと分けて2種類の培養液で培養しています。
One Step型培養液
「胚自身が発育段階に応じて必要成分を選択的に摂取するため、生体内環境の変化に応じた培養組成の変更は必要ではない」、と言う考えがあります。
1種類の培養液で受精直後から胚盤胞までの全ステージで培養可能になります。これによりランニングコストの軽減、品質管理の簡略化が可能になります。
有効性について
どちらが有効かは報告により様々です。
現時点ではどちらが良いかは判断できません。今後更なる検討が必要と言えます。One step型は最近人の体外受精に用いられるようになったことから、実績がそれほど多くはなく、今後の更なる検討の積み重ねが必要と言えます。
クリニックによっては「Split培養」と言って両方の培養液を使用して、その人にあった培養液を使っている所もあります。