着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)
着床前胚染色体構造異常検査(PGT-SR)
について
着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)・着床前胚染色体構造異常検査(PGT-SR)とは、最新の解析技術を用いて受精卵の染色体の数や染色体の構造を調べる検査です。染色体数や構造に異常がない受精卵を子宮に戻すことで、流産を減らし、妊娠率や出産率を高めることを目的として行われる検査です。
PGT-A・PGT-SRは日本産科婦人科学会の特別臨床研究として行われてきましたが、2022年8月末で特別臨床研究が終了し、2022年9月1日からは、日本産科婦人科学会の新見解・細則に定められた、一定の適応条件を満たす方のみ受検できる「医療行為(検査)」となります。
PGT-A適応条件
- 反復ART不成功
過去に体外受精胚移植(ART)の不成功を2回以上経験している方
2回連続したART不成功であるという臨床研究での条件は除外となりました - 反復流産
直近のご妊娠が流産以外(出産など)であっても、過去に2回以上流産を経験している方
子宮形態の評価、夫婦の染色体検査、抗リン脂質抗体症候群についての精査は必須ではなくなりました
PGT-SR適応条件
染色体構造異常(ご夫婦のいずれかにリプロダクションに影響する染色体構造異常を有する方)
適応条件を満たさない場合PGT-A・PGT-SRを受検することができません。詳しくは医師の診察時にご相談ください。
PGT-A・PGT-SR受検をご希望される方は、日本産科婦人科学会が作成した下記の2つの動画をご覧いただき、学会作成のPGT-A・SR動画視聴確認シートにご記入のうえ、診察のご予約をお取りください。PGT-A・SR動画視聴確認シートは必ず診察時にお持ちください。
また、動画をご覧いただきご不明点やご質問がございます場合、不安払拭フォームに内容を記入しお送りください。その際、ご質問の種類という項目は「PGT-Aについて」を必ずご選択ください。不安払拭フォームにお送りいただいた内容については、PGT-Aカウンセリング枠で臨床遺伝専門医より回答・説明をさせていただきます。
「不妊症および不育症を対象とした着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)・ 着床前胚染色体構造異常検査(PGT-SR)に関する説明文書」は、通常PGT-A・PGT-SR受検希望の診察時に同意書と一緒にお渡しする予定のものですが、内容理解のために、診察の前にご一読いただいても構いません。
- 動画とPGT-A・SR動画視聴確認シート
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動画と動画視聴確認シートは下記リンクからダウンロードいただけます。
- 動画の著作権は公益社団法人日本産科婦人科学会に帰属します。
費用(税込)
PGT-A・PGT-SRカウンセリング | 11,000円 |
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ご夫婦の染色体検査 | 55,000円 / 1人 |
通常の体外受精費用 | ※「費用について」をご覧ください |
胚盤胞PGT-A・PGT-SR検査(胚盤胞1個あたり) | 110,000円 |
その他、再診料や胚凍結料、移植料などは別途ご請求させていただきます。
また、必要に応じて追加のカウンセリングや検査費用をご請求させていただく場合があります。
2022年9月現在、PGT-A・PGT-SRは保険適応の検査ではありません。保険の体外受精治療で採卵した胚についてPGT-Aを実施したり、PGT-Aを実施した胚を保険で移植したりすることはできません。
PGT-A・PGT-SRに係る採卵・胚移植・検査等、全て自費診療となります。
Q&A
- 希望すれば誰でもPGT-A・PGT-SRを受けられますか?
- 本検査を受検できるのは、日本産科婦人科学会の提示する適応条件に当てはまる方のみになるため、希望されても受検いただけない場合があります。
- 臨床的妊娠・流産とはなんですか?
- 臨床的妊娠とは子宮内に胎嚢(赤ちゃんの入っている袋)が確認できること、臨床的流産とは胎嚢確認以降流産となってしまうことをいいます。
- 分割期胚は検査できますか?
- 現行のPGT-A・PGT-SRは胚盤胞での検査となりますので、分割期胚では検査は行いません。
- すでに凍結保存している胚盤胞は検査できますか?
- 日本産科婦人科学会の新見解・細則に定められた適応条件を満たしていれば、本検査の対象となります。但し、保険の体外受精治療で採卵した凍結胚は対象となりません。
- PGT-A・PGT-SRを行えば必ず移植できますか?
- 検査結果によっては移植可能胚(染色体数や構造の異常がない胚)が得られず、移植に至らない場合があります。特別臨床研究の中間報告では、研究参加者のうち約6割の方は移植可能胚が得られなかったと報告されています。
- PGT-A・PGT-SRを行った場合、新鮮胚移植はできますか?
- PGT-A検査を行った場合は、新鮮胚移植はできません。一度凍結保存して検査結果を待ちます。検査結果は3週間程度かかる可能性があります。検査の結果、移植可能胚が得られたら融解して移植します。
- 移植可能胚が得られた場合でも、次の周期に採卵して移植可能胚を貯卵することは可能ですか?
- 可能です。
- PGT-A・PGT-SRを行えば元気な赤ちゃんが生まれますか?
- PGT-A・PGT-SRは胚の染色体異数性または染色体構造異常を調べる検査なので、染色体異常以外に起因する流産や赤ちゃんの病気などはわかりません。
- PGT-A・PGT-SRで赤ちゃんの性別はわかりますか?
- 日本産科婦人科学会の新見解・細則に従い、性別はお伝えできません。
- PGT-A・PGT-SRを行った胚で妊娠した場合、羊水検査は受けなくてもいいですか?
- PGT-A・PGT-SRは胚盤胞の栄養外胚葉(将来胎盤になる部分)の一部の細胞を採取して検査するため、例えば胎盤になる部分と赤ちゃんの部分の染色体が異なるといった誤判定が起こり得ます。諸外国のデータによると、PGT-A・PGT-SRの誤判定率は 5~15%と報告されています。
PGT-A・PGT-SRの結果に誤判定がないかを確認する出生前検査は、羊水検査(羊水中の胎児細胞を培養する検査)のみとなります。