凍結胚移植について
当院では胚移植は新鮮胚移植では無く一度凍結してからの凍結胚移植をお勧めしております。
凍結胚移植には2種類方法があります。自然周期とホルモン補充周期があります。
ホルモン補充周期での凍結胚移植のメリットに一つに移植日をご自身である程度決められる事があげられます。例えばお休みが土日で移植後になるべく安静に過ごしたい等の理由で土日に移植を行う事も出来ます。
一方自然周期による凍結胚移植は移植日を選ぶことは全くできません。排卵日から自動的に移植日が決まってしまいます。そのため仕事をしている方にとっては少し大変な方法となってしまいます。
仕事をされている方で少しでもストレスを回避したい場合には、ホルモン補充周期で土日に移植する事はお勧めな方法です。
新鮮胚移植 vs 凍結胚移植
それぞれのメリット・デメリット
新鮮胚移植の場合、卵巣刺激などによりホルモン値のバランスが崩れており、普段とは違う状態になっています。
また子宮内膜の状態も当然普段とは違っています。
そのため着床しにくい状態となっています。その結果として新鮮胚移植の妊娠率はそれほど高くありません。一般的に新鮮胚移植と凍結胚移植を比較した場合、1.5倍近く妊娠率に差が出ている事が多いと思います。
また妊娠した場合、HCGにより卵巣の腫れがさらに悪化して、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になる恐れもあります。
凍結胚移植には妊娠率の向上以外にも、多胎防止、患者負担の軽減等様々なメリットががあります。
そのため卵巣に腫れがみられる場合は、積極的に凍結胚移植をお勧めしているケースが多いと思われます。
その一方凍結胚移植には以下のようなデメリットがあります。
- 凍結、融解の作業にコストがかかる。
- 凍結保存代金もかかる。
- 凍結、融解の過程で胚が変性する恐れがある。
- 妊娠できる時期が遅れる。
どちらがよいか?
- 沢山良い卵が出来た場合:1個新鮮胚移植を行い、残りは凍結し、妊娠しない場合次周期に凍結胚移植を行う。
- 良い卵が少ない場合:新鮮胚移植は見送り、より妊娠しやすい凍結胚移植を行う。
胚盤胞培養という選択肢
良好胚がたくさんある場合は1個をDay3で新鮮胚移植を行い、残りをDay3で凍結するか、または胚盤胞培養を行い、胚盤胞になったものを凍結する等の選択肢もあります。
ただ胚盤胞培養には、もし途中で胚発生が止まった場合、移植や凍結ができなくなる可能性があります。
体外培養と体内培養が全く同じかと言われると、それはなんとも言えないと思います。一つの胚を二つの環境に分けて培養する事が出来ない以上、正解はわかりません。
ただ様々な培養液のテスト等や動物実験等により、体外培養はほとんど体内培養と同等であるという判断のもと培養を行っています。